福井県高浜町は、「ZEN」を生んだ釈宗演の生誕の地であり、アジアではじめて国際環境認証ブルーフラッグを取得した世界水準のビーチ若狭和田ビーチやその形が似ていることから「若狭富士」と呼ばれる青葉山がシンボルとなっている豊かな自然と文化を持つ場所です。
高浜町にやってきた「ワーケーション」
その高浜町で、コロナ禍によって加速化している“ワーケーション”の誘致を始めました。ワーケーションとは、「ワーク(仕事)」+「バケーション(休暇)」の造語で、リゾート地などで休暇を兼ねて仕事をする取り組みのことです。いま日本でも働き方改革の一環として注目され、企業でも導入がはじまっています。 ワーケーションの取り組みを先進しているユニリーバ・ジャパン HDでは、2016年から働く場所、時間を社員が自由に選べる制度「WAA(Work from Anywhere & Anytime)」を導入。その輪は社外、地域へと広がっており、2019年にWAAがさらに進化したワーケーション制度「地域 de WAA!」がスタート。高浜町は、2020年2月14日、7つ目の自治体として連携をスタートしました。
ワーケーションでは、普段生活している場所を離れて滞在先で仕事をしたり休暇を過ごしたりするのですが、「ワーケーションを行いたい人たちはどんな観点で滞在先を選ぶことになるのだろうか? 高浜町にしかない滞在の価値って何だろうか?」ということを高浜町の担当者と議論することになりました。また、一方で企業の人事担当の方からも「従業員を在宅勤務でもなく、オフィス外の場所へ送り出すにはメリットや効果が感じられないと二の足を踏んでしまう」という声もいただいていました。
そこで、高浜町での滞在の効果を見える化できないかと始まったのが今回の実証実験です。
電通サイエンスジャム社との共同の取り組みで、同社が開発した脳波の測定データから取得した感性(興味、好き、ストレス、集中、沈静、嫌、快適)が分析可能な簡易型評価キット「感性アナライザ」を使用して、高浜町での滞在に関するヘルスケアデータを測定してみることにしました。
実証実験スタート
実験では、事前に自宅で測定したデータをベースとして、現地での2泊3日の滞在中に仕事やアクティビティの合間に脳波データを測定し、帰宅後に最終計測をすることでそれぞれの推移変化を検証しました。
普段の生活環境が都心の人と、自然が多いところで生活している人で結果の差はあったものの、高浜町での滞在日数が経過するごとにストレス度の数値が下がった人や焚き火を眺めているときに瞑想状態になった人など、それぞれデータの変化を確認することができました。
今回は5人という少ないモニターでの実施となったため、来年度は規模を大きくした開催や地元の町民との交流など、さまざまな切り口から検証をすることで、可能性が広がっていくことを感じられた今回の実験。ワーケーションの誘致でPRできる要素が今後増えていくことを期待しながら、高浜町でまだまだこの取り組みは続いていきそうです。
高浜町での「ZEN」な滞在については、こちらの映像をご覧ください。