お米をできるだけおいしく食べる方法

ここ20年で類を見ないほどのお米価格の高騰と米不足により、2024年の夏はお米の供給がとても不安定になりました。心配でいつもより少し多めにストックされた方もいらっしゃるのでは?
全国的に例年よりも高値ではあるものの新米が出回るようになり、買い置きしていた去年のお米をどうしようか、と悩まれるかもしれません。購入してからできるだけ長く、おいしく白米を食べるためにおさえておきたいポイントをまとめました。
保存方法や洗米(米とぎ)方法はいつでも、どんなお米でも参考にしていただけると思います。

1.お米の保存方法

お米は玄米の状態で低温倉庫などに適切に管理・保管されていると数年間は水分量15%程度をキープすることができます。(当店の「米でいいの田゛」の場合。外国産のお米など保水力の低いものはこの限りではないようです。)
精米して白米になると乾燥や酸化が進みやすくなるため、精米後はできるだけ早めに食べきるのが望ましいです。

シンクの下に置いたストッカーの中や、買ったままの米袋の口を簡単にしばって食品庫に置いておくケースが多いようです。お米は乾物ではなく、野菜のように生鮮品のなかまです。15%程度の水分を含んでいるので、常温で風通しの良くないところに置くとカビの原因になることもあります。
可能であれば保存容器に入れて冷蔵庫内での低温保管するとよい状態を保つことができます。
冷蔵庫はほかの食品でいっぱいでお米まで入れられないというときには、できるだけ風通しがよく、涼しく、暗いところに置くとよいでしょう。

高温多湿の時期に数日留守にする場合、室内が高温かつ無風でお米には厳しい環境になります。夏場の旅行などで不在のときには十分注意したいです。

また気温差が生じる場所には絶対に置かないでください。気温差により、米袋内でも結露が発生することがあり、カビの原因となります。

虫が出ないように、唐辛子をいれて保管するのもよいでしょう。

せっかくのおいしいお米なので、冷蔵しやすい牛乳パック型パッケージにしたものもあります。
3合ずつ2回分に小分けした脱酸素剤入り包装なので、手間なくおいしさキープできると好評です。

2.精米後時間が経ったお米のおいしい食べ方

精米から時間がたってしまったお米は、表面についたぬかが酸化してお米本来の香りを損なうことがあります。
また、乾燥して炊き上がりのツヤがなくなったり、食感もぱさついたりします。
常に精米したてを食べたい!と家庭用精米機をお使いになる方はそもそも玄米を購入されます。
買ってしまった白米をできるだけおいしく食べる方法を考えました。

しっかりお米を洗う

お米を水にひたして軽くかき混ぜたら、1回目の水はとにかく大急ぎで捨てます。
お米は最初に水に触れたときに水分を吸いやすいため、ぬかを一番多く含む最初の水はさっさと捨ててしまうことが大切です。
炊飯の水にこだわる方はこの最初の1回目の水を良質なものにするとよいようです。
2回目以降は落ち着いて、でもできるだけ手早く、水の濁りが薄くなるまで水をかえます。
すっかり透明になるまで洗うとうまみもなくなってしまうのでほどほどに。
乾燥したお米は割れやすくなっているので、あまりごりごりこすらないように。
普通のお米でも同様ですが、精米技術の進歩により、いわゆる米とぎというようなごしごし洗いは不要です。
ぬかっぽさを洗い落とすつもりで、やさしく。
洗い上がったお米は一度ざるにあげて、流水をかけて仕上げにすすぎます。
最後はざるでしっかり水を切って。

浸水時間を長めに

普通でも30分程度は水につけたほうがおいしく炊けます。お米の状態にもよりますが、水につける前のお米の肌がいかにもぱさっとして見えるときには1時間程度浸水させても。
お米のコンディションと気温、水温によっても適切な浸水時間は変わるので、いい感じになるところを探してみてください。
暑い日に常温で長く置いておくのが心配な時には冷蔵庫での浸水もおすすめです。

炊飯時に氷を入れる、水温を下げる

冷蔵庫で浸水させるとお米と水が冷えて、常温から炊き始めるよりも沸騰まで時間がかかります。
じっくりふつふつさせたほうがお米の甘味が増すと言われています。
炊飯時、水と一緒に氷を入れても同じ効果が期待できます。
氷を入れるときには氷の分も含めた水加減に調整するのをお忘れなく。

しっかり蒸らす

炊き立てに飛びつきたい気持ちを抑えて、10分ほど待つことで炊きムラがなくなりしっとりふっくらおいしくなります。炊飯器は蒸らしたあとに炊き上がりをお知らせするものが多いようですが、鍋で炊飯するときには火を止めてから必ず蒸らしましょう。
蒸らしたあとはごはん全体を切るように混ぜかえします。鍋底は水分が多くそのままにしておくとべたついたり、みっちり固まってしまうことがあり、上のほうは水分が少ないので、軽く混ぜることで炊きあがりが均一になります。

火で炊いてみる

たまには炊飯器をお休みしてガスコンロと鍋で炊飯してみると、いつものお米も見違えることがあります。
高級炊飯器の売り文句には、「炎」とか「強火」、「踊り炊き」、「土鍋炊き」の文字が並びます。
つまり、電気炊飯器が目指すのは火で炊いたご飯の仕上がりということ。
ガスコンロには炊飯モードがついているものもあるので、この機会に活用してみるのも。
10万円以上する炊飯器の仕上がりを、ガスと鍋で超えられたら楽しいです。

炊飯時になにかしらちょっと足す

料理酒やみりんをほんの少し足すと甘味やコクが増します。
ほかにも昆布水で炊くとか、ほんのわずかに自然塩を入れるとか、調べてみるといろいろなちょい足しアイディアがあります。

炊き込む

時間が経って白米として食べるのがつらいレベルになってしまったら、炊き込みごはんにしてみては。
夏の名残のとうもろこしごはん、枝豆ごはんに塩昆布、甘栗で作る簡単栗ご飯、鯛めしなど、魅力的な炊き込みごはんはたくさんあります。
ぜひ楽しく炊き込んで。

洋風に

水分量が少ないということはリゾットやパエリアなど、そもそももちもちのお米で作らないメニューに向いてきているということ。スープの味と香りが加わり、オリーブオイルでツヤもでて、時間が経ってしまったお米の弱みもしっかりカバー。
チャーハンやオムライス、ドリア、ピラフなど、白米の魅力一本で勝負しないメニューはまだまだいっぱいあります。

3.古米の魅力

ここまでは主に精米から時間が経ってしまったお米の食べ方についてお伝えしてきました。
玄米のまま保管されている去年のお米も、新米が出てしまうとあっという間に見向きもされなくなってしまいます。
でも、実は、適切に保管された玄米の古米はまったく悪いものではないのです。
当店のお米はお寿司屋さんでお使いいただいていることも多いのですが、長年ご愛顧いただいている久兵衛オークラ店様をはじめ、名だたるお寿司屋さんはすぐには新米に切り替えないことがほとんど。米粒内で水分が安定していないので炊き上がりにムラが出やすいことが理由のようです。
お寿司屋さんのように、去年のお米で手巻き寿司にしてみるのはどうでしょう?
酢飯になるので、ごはんにツヤと甘味が加わります。

10月下旬に出来上がった新米をお寿司屋さんにお届けするのは年末から翌年のはじめ。
切り替え前には試しに炊いていただけるようサンプルをお送りして水加減など見ていただいています。
「米でいいの田゛」をお使いいただいている主な名店は下の記事内でご覧いただけます。

また、ポンせんのような米菓子の場合も古米でまったく問題ありません。

新米が出てくると急に肩身が狭くなってしまう古米ですが、その安定感が活かされる場所はちゃんとあるのです。
お手元のお米をどうぞおいしく食べきっていただけますように。

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